幼稚園を卒業する娘に贈るお祝いの手紙~未来の君へ~
長女が入園してから6年。
次女も続いた幼稚園への通園がおわります。
卒業によせて幼稚園で作るアルバムや文集にも娘へのメッセージは書きました。
けれど公式の場でわざわざ語るまでもない、ささやかな毎日にこそ、祈りや願いをこめていた。
そんな気持ちは今の娘にというよりは、大人になったとき、そして彼女がかけがえのない小さな手をひく立場になったときに伝えたい。
だからメッセージは6歳の彼女と、未来の彼女へ。
※ お世話になった先生に贈るメッセージはこちらで
※ これまで成長を見守った親戚や近所にすむ子どもたちへのお祝いのメッセージはこちらです。
※ 先輩ママに贈る、お祝いとねぎらい、そして感謝のメッセージはこちら
卒業生をもつ友人に贈る、お祝いの手紙~今日までお疲れさまでした~
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そつぎょうおめでとう
のどか
そつぎょうおめでとう。
4がつになったら、いちねんせいだね。
ランドセルをせおって、がっこうへいくのどかをみるのがとてもたのしみです。
にゅうえんするときは、なまえをよばれてもおへんじができなくて、おかあさんはとてもしんぱいしました。
うんどうかいもきんちょうして、たくさんれんしゅうしたはずなのに、じょうずにダンスができませんでした。
にがてなきゅうしょくもたくさんありました。
それでものどかはようちえんがだいすきで、まいにちとてもがんばっていました。
そんなのどかに、おかあさんもげんきをいっぱいもらいました。
おねえさんになるうちに、にがてなものや、できないことはどんどんすくなくなって、すきなものやできることがたくさんふえました。
できることがふえたとき、のどかはとてもうれしそうで、おかあさんもすごくうれしかった。
いちねんせいになっても、きっとのどかはいろんなことをがんばるだろうなって、おもっています。
がっこうのおはなし、まいにちおしえてね。
おべんきょうもいっしょにがんばろうね。
おかあさんより
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卒園の日に思うこと
のどか
今日は幼稚園の卒業式です。
こんな日はいろんなことを思い出して、いつまでも覚えていようと思う。
それなのに、あっというまに大きくなるあなたとともに、私の記憶はすぐにうすれてしまいます。
ささやかだけど大切な今日の思いも、きっと思い出せなくなってしまう。
だから手紙を書きました。
今の私とおなじように、あなたがお母さんになったとき、私がこんな気持ちであなたと過ごしていたことを、知ってくれるといいなと思っています。
あなたはお姉ちゃんが幼稚園に通った時期をあわせると、6年間も毎日私といっしょに幼稚園へ通いました。
園門でいってらっしゃいと見送った時期も、いってきますと手をふった時期も、あなたは幼稚園が大好きでした。
入園してからは、なかなか給食が食べられなかったり、進んで何かにチャレンジすることが苦手で、手ばなしで楽しいとはいえないときもあったはずです。
今日は行きたくないって泣くかもしれない。
不安をあなたに悟られないように手をにぎりながら、がんばれ、がんばれと、心の中で毎日くりかえしました。
それでもあなたは弱音をはくことなく、毎朝走って園門をくぐって行きました。
私はそんな後姿に安心しながらも、絶対にふりかえらないで帰ろうと思っていました。
ふりかえったら、あなたが泣くかもしれないとバカみたいなこと考えて、おまじないみたいに前をむいていた。
きっと私と目があっても、あなたは笑顔で「いってきます!」と手をふったと思う。
それでもいるかどうかもわからない神様に、「どうか私に、信じてはなせる強さを下さい。」と祈りながら、家にもどりました。
結局ほのかと同じ。
あなたも一度だって、行きたくないなんて言った日はなかった。
それでも毎朝起きてきたときから、今日もがんばれと、口にだせない気持ちを朝ごはんに、結んだリボンに、つないだ手にこめました。
途中で忘れ物を思い出したら叱った。
準備がまにあわないと怒った。
そんなんじゃ一年生になれないよって、今ではすっかり決まり文句。
もっと違うやり方があったと思う。
ちゃんとあなたの心にとどく言葉があったはずだと思う。
できないことばかりの毎日でした。
あなたのお母さんは、とても未熟な母親でした。
でもあなたとの時間を、とても大切に思っていました。
卒業おめでとう。
ふりかえれば楽しいことばかりの思い出を、たくさんくれてありがとう。
お母さんより
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娘と歩いた6年間
6年前はまだ1歳にもならなかった次女をベビーカーに乗せ、万が一のための新しいオムツや、おなかをすかせた時のおやつ、さむくなった時のひざかけ。
徒歩でほんの20分までの通園に、まるで小旅行のような大荷物を抱えていました。
それでもまだ3歳になったばかりの長女が、途中で行くのをいやがるのではないか、はなれられなくなったらどうしようと、何があってもうろたえなくてすむ準備をして出かけました。
3年前に長女が卒業し、次女が入園。
ポケットに携帯電話を入れて、片手にちいさな手をにぎって出かけるようになりました。
お姉ちゃんと3人だった通園が2人になり、さびしがるかと思ったのはムダな心配でした。
今日のおやつはなにかな
うさぎ元気にしてるかな
幼い娘の世界をうめつくす、たのしいものたち。
いつしかそれは
運動会の練習はじまったよ
苦手な給食たべれたよ
前を向いた彼女の視界いっぱいに広がる新しい世界の話にかわりました。
そして最近は
もうすぐ小学校の見学があるよ
お当番はあと3回ねたらまわってくるよ
彼女なりの時間の中で、スケジュールの報告も始まりました。
嫌いな給食の日は、泣き出すんじゃないだろうか。
友だちとちゃんと遊んでいるんだろうか。
そんなことばかり考えていたハナコは、娘との会話に、自分とは見えている世界が違うと何度もハッとさせられました。
ただ毎日通園することだけで精一杯だと思っていた日々の中で娘は成長し、視界を前へ前へと広げていました。
4月からは手をひくこともなくなります。
さびしくなるなんて、後ろから未練がましいことは言えない。
彼女の視界の片隅でさりげなく、大丈夫だよ、見てるよと、ささやかに声援をおくります。