おばあちゃん、手術がんばって~祖母に送るケガのお見舞い~
祖母が骨折をしました。
70歳をすぎて以来、骨がとてももろくなり、ささいなきっかけで骨折をくり返すようになった祖母。
今回はもう4度目です。
けれどその事情を聞くとちょっとせつない。
老人会で出かける和歌山へのお花見に行きたくて。
暴風警報が出るなか、せめて集合場所まではと片手で杖をつき、片手で傘をさして出かけた結果、横断歩道で転倒したのだとか。
さいわい通りがかった人が助けてくださったおかげで、交通事故にはいたりませんでしたが、祖母はひじを粉砕骨折。
本人は痛みもないと言いはっているようですが、やはり落ち込んでいるとのこと。
あんなに桜が好きだった祖母の気持ちを考えると、無理をしてしまったことも、責められないと思うのです。
2日後にせまった手術に、うかない気持ちになっているようでもあります。
少し気分転換になるような手紙を書きました。
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来年も、桜はきれいに咲くからね
おばあちゃん
骨折したって聞きました。
外での事故、こわかったね。
無事に帰れたとのことでホッとしたものの、痛みがないか心配です。
お母さんにはしかられちゃったみたいだけど、大きなけがにならなくて何よりでした。
手術を待つあいだのおうちでの生活、不自由はありませんか?
なんでも1人でやってしまうおばあちゃんだけど、くれぐれも今は、無理をしないでくださいね。
春休みに会ったとき、話していた和歌山に桜を見に行く日だったとか。
おばあちゃん、桜好きだからお天気悪いのに出かけちゃったんだなと思っていました。
今年はいつもと変わらないペースで桜は咲いたものの、散りはじめに天気が悪くなってしまって、日本中の桜があっというまに散ってしまったみたいです。
おばあちゃんみたいに、あわてた人がたくさんいたんだろうなと思ったよ。
私たちも通りすがりにさく花が、きれいだねって車から眺めたけれど、ゆっくりお花見はできませんでした。
桜はいつも、あっというまに散ってしまうから。
毎年タイミングがむずかしいなと思っています。
おばあちゃんも今年は残念だったけど、来年、花が長持ちしてくれるように祈っておこうね。
そのときこそ、しっかり歩けるように、ケガが治ったら足を鍛えておいてください。
手術はむずかしいものではないと聞いたから、心配はしていないけれど、痛みや気持ちの悪さはがまんしないで、ちゃんと病院で相談してね。
また夏休みには、子どもたちと一緒に会いに行くよ。
一日も早い回復を祈っています。
ハナコ
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強情っぱりのおばあちゃん
ひとりをいとわず、なんでも自分で解決しようとする祖母の生き方は、若さのひけつです。
けれどたび重なる骨折は、いつもそれが原因になっています。
足に大けがをして以来、祖母は雨の日に出歩かないようにと、母から言われていたようでした。
近くに住み、身の回りの世話をしていた母にとって、自分が面倒をみきれるか否かの境界線がそこにあるからです。
そのため、今回の事故では約束をやぶってしまったバツの悪さからなのか、祖母はひたすら痛くない、治療は必要ない、ひとりでできる、と言い張っています。
早く治さなければ、と思うことは、回復のためには大切なことです。
けれどそんな無理をしてまで見に行きたかった桜も今年は見れずじまい。
そして祖母の年齢にまでなれば、ほんの少し風邪を引いた程度のことでも、「来年の桜はもう…」と弱気になることもあるようなのです。
だから残念な気持ちはちょっとわかってあげたい。
母の大変さを思うと、「おばあちゃん、ミスったな。」の気持ちは先に立ちます。
でも離れて暮らしているからこそ、そして母とは立場がちがうからこそ、何もできないけど寄りそえることがあるのではないかと思っています。
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