きっと笑って帰ってくるよ~初めての入園を迎えたママへの手紙~
子どもが生まれて以来、いちばん記憶にのこっている春は、長女を幼稚園に入園させた年の4月です。
それまでずっと一緒に家ですごしていた娘を、はじめて自分の目の届かない場所へやる不安。
3歳児として身のまわりのことは一通りできたものの、私のほうが不安すぎて、一体なにが不安なのかもわからなくなるほど。
その頃はまだ次女が7ヶ月で、食事もオムツも待ったなしの時期でした。
長女をかまってやりたい気持ちはあっても、手がかかるのは歩けもしない次女のほう。
抱っこひもに次女をいれたら、いってらっしゃいの前に抱きしめてやることもできませんでした。
今となってはわかるのです。
それくらいが、ちょうどよかったと。
それでも当時は自分の不安を悟られないように、いつも通りにふるまいながら、どんな表情も見逃すまいと娘の顔をしょっちゅうのぞきこんでいました。
鬼気せまる顔つきの母は、とても重たかったのでしょう。
先生がとてもやさしくむかえてくださったことで、娘はすぐに幼稚園が大好きになりました。
毎日園門から、羽がはえたようにかけだして行きました。
私の心配はなんだったんだ。
そう思いながら、心からホッとしていました。
娘は卒園しましたが、また不安でいっぱいのお母さんが、子どもたちを見送る季節がきました。
泣いていたって大丈夫だよ。
帰ってくるころにはきっと笑ってる。
幼稚園や保育園デビューのママたちに贈る手紙を書きました。
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カードで送る短めのエール
サヤカさん
アスカちゃんの入園、おめでとうございます。
きっとまだ、今日は泣かずにはなれてくれるだろうかと、ちょっぴりの不安もかかえながらの毎日だと思います。
はじめてならなおさら。
でも大丈夫。
ママの顔が見えなくなったら、そっと涙をふいて、先生やおともだちとたのしく遊んでいるはずです。
おむかえの笑顔が待ちどおしいね。
お話たくさん聞いてあげてください。
ハナコ
いつかは泣かない朝が来る
サヤカさん
アスカちゃんの入園、おめでとうございます。
日に日に大きくなる子どものお相手は大変で、入園は待ちどおしかったことと思います。
けれど同時に、アスカちゃんを手元からはなす不安もあることでしょう。
離れたくないって泣いたらどうしよう。
私も何年か前、そんな気持ちで幼稚園の生活をスタートさせました。
ただでさえ慌ただしい朝の時間、出かける準備をするのが精一杯で、不安な娘の気持ちは後まわし。
手をひいて歩きながら、バイバイのとき、泣いたらどうしようと背中が冷えました。
実際涙がこぼれるお友だちを見ては、今日か明日かとわが子の顔色をそっとうかがう日々がありました。
それでもみんな、あたたかくなるにつれ、涙を見せずに園門をくぐっていくようになるみたい。
なんだかんだ言いながら、行くようになるもんだねって、お友だちのお母さんたちと笑ったのを覚えています。
しっかりもののアスカちゃんは、そんな心配もかけずに登園しているかもしれないな。
そう思いながらも、サヤカさんもいつかの私と同じ朝をすごしていたらと想像すると、思い出話がしたくなりました。
たとえ朝、不安そうな顔をしていても、すこしずつ笑顔がふえていくと思います。
帰って来たら、聞いて聞いてとおしゃべりのお相手が大変かもしれません。
がんばったこと、全部聞いてあげてね。
からっぽになるまでおしゃべりしたら、きっと明日もたのしいことでいっぱいになれると思うから。
いい日も、そうでない日も、毎日元気でいて下さい。
またおしゃべりしましょうね。
ハナコ
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吹かせていいのか、先輩風
私は先輩ママたちの話がいつも聞きたくてたまりませんでした。
こんなときは、どうしたらいいの?
この後は、どうなっていくの?
悩みや不安は全部ぶつけていました。
友人であると同時に偉大な先輩でもあったママ友は、なんでも教えてくれたし、いつも助けてくれました。
慣れない土地での育児の中でそれは、最高の支えでした。
そんな人たちがいてくれたおかげで、私も母親になることができました。
でも今、ほんの少しステージが進んで、自分も何かを伝えられる立場にありながら、いつも迷っています。
私の言葉が必要だろうか?
この人たちは私に何かを求めているだろうか?
今の若いママたちは…と先輩風を吹かせたいわけではありません。
私がしてもらったことを、誰かにしてあげることでお返しできたらいいなと思う。
けれど立場が変わればまた、わからないことだらけです。
でも時には、ほんの少しの思い出話を聞いて、なんとなく今をやり過ごせるような気持ちになってくれたらいいな。
もう向かうことのない園門に、今年もまた春が来るんだなぁと思いながらお祝いをかねた手紙を書きました。
明日天気になぁれ!
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