木の芽時に気づかう、大切な人たちへの手紙~大きな変化のあとだから~
木の芽どき、という言葉を知ったのは、18歳のころ。
「大学に通う電車で、やけにおかしな人ばかり見る。」と母に話したときでした。
「木の芽時だからね。」
おかしな人、とは言ってもその挙動や言動はそれぞれ。
それなのにこの時期だけは、それをひとくくりにしてしまえるらしい。
それだけ人間の磁場を狂わせるような力が、この季節にはあるのかと思うと、おそろしい…とおびえたのを覚えています。
ただ、この言葉は完全に異次元に足を踏み入れてしまった人だけに使うのではありません。
はげしい寒暖の差から、自律神経やホルモンバランスをくずしやすくなる時期、というのが本来の意味。
くわえて進学や就職など、環境の変化によって不調を感じやすいという、現代社会の事情も原因になっています。
ということは、春に新しい場所へとお祝いの言葉とともに見送った人たちも、きっと疲れが出ているころでしょう。
自分のまわりばかりだと大きな変化を感じにくいので、季節の言葉にアンテナをはり、小さな気づかいを大切にしたいと思います。
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小学校1年生へ
きみちゃん
げんきですか。
たんにんのせんせいのなまえは、もうおぼえたかな。
こんどあったときにおしえてください。
たくさんべんきょうしたら、おなかがすくとおもうので、ごはんをしっかりたべてね。
さむいひは、かぜをひかないようにきをつけてください。
ハナコおばちゃんより
中学1年生へ
りえちゃん
桜も散り、入学式からしばらくたちました。
学校にはもう慣れましたか?
自転車での通学、雨の日はいつもりえちゃんのことを思い出します。
楽しくすごしているだろうけれど、そろそろ疲れもたまるころ。
くれぐれも体を大切にしてくださいね。
冷えた体は、思った以上に体力を消耗します。
帰ったらしっかりあたためて、ゆっくり休んでください。
しばらくは小さなころに戻ったようなつもりで、快食快眠でね。
かわいい笑顔がいつまでもかがやいていますように。
ハナコおばちゃんより
高校1年生や大学1年生へ
たかし君
学校生活はどうですか?
連休がおわると授業もいよいよ本格的になりますね。
改めてスタートをきる時期に、体調は万全かな?とお便りしました。
今年の春は進学という大きな変化があったから。
知らず知らずのうちに疲れがたまっているかもしれません。
たかし君はまだ高校生なので、一晩眠れば大丈夫だろうとは思いつつ、この時期だけでも、体をいたわってほしいと思っています。
朝晩の冷え込みと、昼間の暑さには、健康な人でもバランスをくずしやすいと聞きました。
心配しすぎて臆病になるのではなく、次のステージでさらなる飛躍をするために、しっかりとメンテナンスをしてください。
元気でがんばってくださいね。
ハナコおばちゃんより
新社会人へ
トオル君
研修もそろそろ終わるころでしょうか?
慣れないことが続く毎日に、少し疲れもあるのではないかと心配しています。
この時期は、特別なことがなくても体調をくずしやすいもの。
社会人になったばかりならなおのこと、元気でいるか気がかりです。
後回しにできないことや、おつきあいもたくさんあるとは思いますが、健康あっての活躍。
これからのためにも、無理せず体をいたわってくださいね。
ある程度慣れれば、自炊だって楽しめると思います。
今は休息を最優先に、無理せず毎日を楽しんでください。
応援しています。
ハナコおばちゃんより
体調のすぐれないあの人へ
ユウコちゃん
安定しないお天気に、気持ちの落ちつかない時期になりました。
雨のたびに調子がくるってしまうね。
体調は悪くなっていませんか?
特に木の芽どきは、元気な人でも不調を感じる季節です。
早くあたたかくなって、不安定な状態が落ちつくといいね。
今は無理せず、休むことに専念しましょう。
気圧が下がると頭が痛くなったり、古傷が痛んだりする人が多いらしい。
そちらの天気をうかがいながら、ユウコちゃんが元気でいるといいなと思っています。
ちょっとやそっとのこと、今できないくらいでピンチになったりしないから。
明日できることは後回しにして、今日はのんびりしちゃいましょう。
体の声をきいてあげてね。
落ちついたらまた、おしゃべりしましょう。
ハナコ
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言ってるそばから本人が
私の場合は花粉症のせいだ、ということにしているのですが。
春は毎年すっきりしません。
きっとこれも、木の芽どきに起こりやすい症状のひとつ。
この手紙を書きあげるのにも、ずいぶん時間がかかってしまいました。
原因は花粉症だけではないんだろうなと思いつつ、花粉症のせいにしてしまえば、なんだか気が楽なので、そういうことにしています。
現にスギやヒノキの花粉が落ちつくころには、気がつかないうちにいつも通り。
ケロリとしている私を見て、「こないだまでのだるそうな感じはなんだったんだ。」と感じる人だっているかもしれません。
だから程度のちがいはあっても、みんなそういう時期なんだ、と思えば、自分にも他人にも、ストレスが少なくなる気がしています。
多少の不調は抱えていても、誰かのことを気にかけられないわけじゃない。
書きながら「手紙って、グチを気づかいに変えることもできるのか。」と考えていました。
書くことで自分が癒された手紙でした。
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