山茶花の雨上がり、待ち合わせはどこ?~冬の初めのラブレター~

雨が止むと、また少し冷たくなった空気に落ち着かない気分。

年末が近づけば、きっと忙しくなるだろうなと思っていたら、週末に会えるチャンスが到来。

12月に入ると変なプレッシャーをかけてしまわないかとか、物欲しそうに見えないだろうかと考えてしまいそうですが、季節はまだ冬の入り口。

久しぶりに会える週末に、恋心を込めたラブレターを書きました。

 

 

今回はBGMに合う曲も選びました。

すれ違う切なさも、会えなかった時間のさびしさも、会える日のためにくぐり抜けてきたのです。

 

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たくさん歩けるブーツにします

ホームズさん

こんな時期にお休みがとれるなんて、信じられないような気持ちです。

連休は休めそうだから、こっちへおいでよ。

と、ホームズさんからの電話を、何度も思い出してはニヤニヤしています。

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2人でゆっくり過ごせるのは夏以来。

いつも気にかけていてくれるから、なかなか会えないことに不満はありません。

それでも、離れているぶん、会える嬉しさは言葉にはできないほどです。

近くに住んでいても、きっとデートは浮かれてしまうんですけど…。

ちょうど長い雨は上がったばかり。

山茶花の花びらもまだ、きれいに残っています。

大きなイチョウ並木に、テラスでお茶が飲めるカフェがあるからと言っていたのは、私がこの前話したことを覚えていてくれたからですね。

黄色く色づいた街で、のんびりおしゃべりできたらいいのになって思っていました。

どうしてそんな場所知ってるんだろう?

と思ったのは、ちょっとしたやきもちです。

会社へ向かう途中、ずっと探してくれていたんですね。

せっかくの場所に似合うカップルになりたくて、「そこで待ち合わせしましょう。」って言った私は、はしゃぎすぎだったのかもしれません。

あなたからの予想外の返事に、顔が真っ赤になりました。

やっぱり駅がいいですね。

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少しでも長く一緒にいられるから。

どんなに早くても、始発で出発します。

本当はカフェのテラスに合うような、買ったばかりの靴にしようかと思ったんですが、いつもみたいにあちこち散歩したら、きっと足が痛くなってしまうから。

たくさん歩けるブーツをはいていくことにしました。

ホームズさんが話してくれた景色を見せて下さい。

お天気がよければいいなと思います。

でも雨でも悪くなさそうです。

傘持ってこなくていいよって言ってくれたから。

もしかしたら、2人でひとつの傘をさして歩けるのかな、なんて。

よからぬ妄想もふくらませながら、週末の準備をしています。

駅で待っていますね。

西口の改札口。

会えるのがとっても楽しみです。

 

ハナコ

 

 

久しぶりのデートは素直にうれしい

ただでさえ時間の少ない社会人のデート。

遠距離恋愛ともなれば、会えるのは長期の休みのみと腹をくくって待つしかありません。

その分、思いがけないお誘いは、サプライズのプレゼントのようで舞い上がります。

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手帳に慌てて書きこんで、その日までのカウントダウン開始。

新しい洋服を買おうかな。

靴はどれをはいていこう?

美容室に行く時間はあったっけ?

荷物は何が必要?

もうちょっとダイエットしておけばよかった…

押しよせて来るのは、喜びと後悔と、焦りと迷い。

仕方ないのです。

大好きな彼に会えるから。

次は片思い中の彼へのラブレター。

あの手この手の肉食攻撃も手ごたえを測りかねていたら、ついにデートのお誘い!

とは言っても、

家で本ばかり読んでいたから、気分転換に散歩でもどうですか?

とのメール。

デート?散歩?老夫婦?

いやいや、きっとあるよね、下心!

だって私、ありますもん…

 

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文学を語りましょう、サザンカの散歩道で

ハヤトさん

雨上がりの帰り道、山茶花がきれいでもっと歩きたい気分だったんです。

お散歩のお誘い、ありがとうございました。

サザンカ

紅葉がきれいなところってどこだろう?

と、いろんな場所を想像しました。

先日のお礼にと、ハヤトさんが誘ってくれたお店の名前も初めて聞きました。

何もかも、とても楽しみです。

紅葉もお散歩もコーヒーも、新しい本の話も。

あれからまた、面白い本はありましたか?

私は女性向けの、雰囲気の優しい小説にどっぷり浸っていました。

物語の中に流れるしっとりした空気が、雨の夜にぴったりで。

ベースにあるのは悲しい体験なんですが、時間とともに再生していく主人公の気持ちが、激しい雨が上がって行くのとそっくりで引き込まれました。

すっかりシンクロしてしまって、大きな喪失感にショックさえ受けたほどです。

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主人公が最後に、自分の本当の気持ちを見つけるところでハヤトさんから散歩のお誘いがあって、思わず

これが本物かもしれない…

とわけのわからないことを口ばしってしまいました。

ちょうど雨も上がったばかりで、何もかもこれからって気分になっていたところでした。

お散歩もこれからますますいい季節ですね。

自分の知らない場所に連れて行ってもらえるなんて、子供の頃の冒険みたいでワクワクしています。

待ち合わせはイチョウ公園のベンチ。

公園の名前は知らなかったけれど、ハヤトさんがイチョウ公園て言ったとき、すぐにどこのことだかわかりました。

きっとあそこも紅葉がきれいだから、早めに行って本でも読んでいようかと思います。

楽しみにしていますね。

 

ハナコ

ちょっとジャブも出してみた

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知的青年のハヤトさんは穏やかな人で、つかみどころがありません。

恋愛に焦りは禁物ですが、ジャブの出し方を間違っても、うまくかわしてくれそうな雰囲気があります。

だからちょっとだけ、カマもかけてみました。

手紙やメールは一方的に話すので、読んだ相手がどんな反応をしても、ハナコは知ることができません。

だからこそ、強めの攻めでも相手は自分の好きなようにかわしたり、受けとめたり、反応を考える時間があるだろうと思っています。

実際に顔を合わせてかわされるとハナコも傷つきますが、そ知らぬフリなら自分の中でなかったことにして忘れます。

でも考えてはいます。

次はどんな手でいこうかと。

山茶花はそんなハナコを見守るように、花びらを一枚ずつ落とします。

椿みたいに目の前で、ボトッと落っこちたら気持ちもへこんでしまいそうですもんね。

山茶花の花言葉は「困難に打ち勝つ」「ひたむきさ」。

遠距離恋愛も、片思いにもぴったりな花なのです。

ハナコは今日もひたむきに、ラブレターを送ります。

 

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今日の本

ハナコが読んでいたのはこちらの本。

別れを言葉にすると、こんなふうになるのかと、深くまで入って行けました。

別れと再生の物語はよしもとばななのオハコですが、別れの気持ちを言葉にした物語は、今でもハナコの支えになっています。

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