家族の実りをありがとう。~母に贈る勤労感謝の日の手紙~

私は料理が大好きな母に育てられ、食べること=生きることくらい、おいしいものに幸せを感じます。

食卓に登場する旬の食材のおいしさに五感をフルに刺激され、シンプルな一皿に隠された大きな手間に、愛情を感じて育ちました。

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なので、その幸せがテーブルに運ばれるまでに関わった人への感謝の気持ちは、幼い頃から感じていたように思います。

勤労感謝の日は、もともと五穀豊穣に感謝する日。

その気持ちを、直接私の中で育んでくれた母には、最大の敬意と感謝を伝えたい。

「勤労感謝の日」の名前から、これまで専業主婦である母には、ありがとうを言えたことがなかったのですが、母こそが家族をここまで固く強く、そして大きく実らせてくれた人。

錦秋の実りを楽しんで。秋が深まるね、お母さん。~10月11日~

初秋にも伝えた気持ちですが、改めて母の家族への貢献に、深まる思いを手紙にしました。

 

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家族の実りは食卓から

お母さん

サンマのシーズンになりました。

牡蠣もいいけどね。

旬だから安いのかと思ったら、スーパーの「広告の品」ってシールが貼ってあったサンマ、全然脂が乗ってなかった。

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「あんた、ケチケチしすぎ!」ってお母さんの声が聞こえたような気がして、すました顔でたいらげました。

私の好きなサンマ、これじゃないって思ってた。

大好きだったからね、お母さんの焼いてくれる魚。

魚だけじゃなく、お母さんのごはんが私は何より好きでした。

もちろん今でも変わりません。

帰省中のメニューは、子供のリクエストばかりになったなとは内心思っているけれど、それでもおいしいごはんに変わりない。

私を、家族を、言葉でもお金でもなく、食卓に集めた力でした。

まだ好き嫌いがあった子供の頃は、息を止めて食べてたおかずもあった。

大人になっても、煮物より揚げ物の方がいいなとは思ってる。

でもどんな時も、お腹がすいたら他の何よりもお母さんのごはんが食べたいと、離れて暮らす今でも思っています。

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理由も思い出せないようなことにイライラして反発していた頃も、彼氏と出かけていても、いつも「とりあえず帰ってごはん食べよう。」と思っていました。

部活の試合も、大きな試験の前の日も、ごはんを食べたら落ち着いた。

そしてそこにはいつも、お父さんや弟、キッチンで料理するお母さんがいました。

なんとなくその日にあったことを話したり、バカなことを言って笑ったり。

団らんなんて言葉がなくても、自然に集まる場所があった。

私はいつもそこで気分転換し、外の疲れを癒し、力をつけ、また出かけて行きました。

季節の実りも、自然の力も、全てテーブルに運んでくれたお母さんの周りで、家族は固く結ばれていました。

「お父さんに感謝しなさい。」と言っていたけれど、お父さんに守られた私たちを、中でしっかり結んでくれたのはお母さんだったんだなと思っています。

あの食卓を再現するにはまだまだ時間がかかるけど、私もがんばるつもりです。

お母さんがしてくれたように、私も家族を結ぶ力になります。

おばあちゃんが大好きな子供たちも、きっと新しい結び目を作ってくれるでしょう。

お母さん、これまでずっと家族のためにありがとう。

これからもみんなで、たくさんごはんを食べようね。

 

ハナコ

 

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食卓が回る家

母の料理への執念はすさまじく、私の実家の食卓テーブルには回転する円卓があります。

8人の大人が楽に座れる食卓の真ん中に、少し高くなった円卓が乗っています。

中華料理のレストランでよく見るアレです。

ネットで手軽に買えるらしく、見た目ほど突拍子もない買い物でもなかったらしいのですが、それでも一般家庭ではなかなかお目にかからないものです。

最初は度肝を抜かれたそれも、母が次から次へと運ぶ大鉢を乗せて回ると、自然に食卓になじみました。

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それぞれが好きなものを食べて飲むスタイルは、私や弟が大人になってからのものですが、子供の頃から変わらず、体と心に満点の栄養がしみこみます。

父はさっさと食べ終わるといつの間にか寝ていて、弟は勝手にアイスクリームを出してる。

私は勝手にパスタの大皿とワインを独占し、すっかりマリネになったサラダをやっとキッチンから出てきた母がつまむ。

父とは違う方法でまた、母も私に生きることは楽しいことだと教えてくれました。

父に贈る、勤労感謝の日の手紙~ありがとうは今でも照れるけど~

一日中キッチンに立ち続ける母の姿は、家を出て15年たつ今でも私の記憶に鮮明で、あれこそが家族をつなぐ光だったと思うのです。

自然の恵みを家族の力に変えてくれた、母の生涯をかけた勤労の成果は、家族の実りとなって熟しつつあります。

ありがとうね、を改めて。

 

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