おばあちゃん、冬支度できた?~木枯らし1号到来、11月始めの手紙~
関東に木枯らし一号のニュース。
寒くなったことに気がついてはいても、改めて聞くと本格的な冬の到来に身構えてしまい、落ち着かない気分になります。
ハナコは家族のスケジュールに合わせて出かけることで、季節の変化を自然に感じています。
木枯らし一号も、誰かがつけたテレビの中で知りました。
けれど1人で暮らす祖母には、誰かがもたらす季節がありません。
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年と共に悪くなった足の影響もあり、出かける回数は減っているようです。
気温が下がれば、ますます外出は億劫になるでしょう。
それなら手紙で季節を届けたい。
ハナコにとっては「こなす季節」も、祖母には彩りになるかもしれません。
急に寒くなったね、おばあちゃん
おばあちゃん
急に寒くなったと思ったら、木枯らし一号が吹いたってニュースで言っていました。
ずっと暖かかったから、風邪を引いていないか気になっています。
夜はぐっすり眠れてる?
子供たちはまだまだ秋の続き。
運動会や遠足が終わったと思ったら、今度は発表会だって。
聞いている私は目が回りそうだけど、子供たちは楽しそうにがんばっています。
家では発表会で何をするのか、ずっとおしゃべりしています。
勉強の成果が見れる小学校の発表会が楽しみなのはもちろん、私としてはまだまだかわいい幼稚園も楽しみだったのだけれど、それも今年で最後になりました。
来春にはいよいよ2人とも小学生。
姉妹で6年間、手をつないで通った通園路の秋も見納めです。
どんぐりを拾いながら歩いた道も、秋色に染まったイチョウの木も、もう終わりなんだなぁってしみじみしていたら、すごくうれしそうに、「雪はいつ降るのかなぁ?」だって。
子供たちはいつもこれからの楽しみで頭がいっぱいで、私の気持ちなんて木枯らしそっちのけでどこ吹く風。
そんな秋の空みたいに気まぐれな2人に振り回されてるうちに、いつの間にかさびしくなったことなんか忘れていました。
冬は冬で、楽しいことがたくさん待っているものね。
秋はおいしいものが増えて困ると言いながら、もうクリスマスのケーキは何にしようかと考えています。
今年はどのケーキ屋さんで予約しようかなぁ。
おばあちゃんはもう決めた?
どちらかと言われれば和菓子好きの私は、おばあちゃんが毎年用意してくれるお正月の練り切りが楽しみなんだけど、ケーキがないクリスマスはやっぱりダメみたい。
今年はお取り寄せしようかなと思いながら、カタログを眺めています。
お店にもそろそろ出て来ているものね。
最近は小ぶりでも素敵なデコレーションのケーキがあって、思わずひとりじめしたくなるけれど、そんなお楽しみはもうちょっと先。
おばあちゃんみたいに落ち着いた生活ができるようになった時のために、とっておくつもりです。
お正月はまた、いつもみたいにみんなで帰ります。
おばあちゃんのお煮しめ、楽しみにしてるね。
小学校でおせち料理のこと、勉強したんだって。
くわいってどんな味がするんだろうって話していたので、「ひいばあちゃんが作ってくれるおせち料理に入ってるよ。」って言ったら、目をキラキラさせていました。
去年は苦手だったものも、今年は全部食べてみるって意気込んでいます。
家族みんなが元気で新しい年を迎えられるよう、おばあちゃんも元気でいてね。
また一年あっという間だったねって言いながら、ごちそうを食べましょう。
ハナコ
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一緒に過ごせる冬の楽しみ
ハナコの実家では、仕事をしていた祖母に代わって、昔から母がおせち料理を用意していました。
けれどお煮しめだけは、祖母がずっと作ってくれています。
ハナコのひいおばあちゃんが京都出身のため、料理の根っこは京都であるらしい実家のお煮しめは、だしの風味を活かして薄口しょうゆで仕上げるので、素材の色がくっきりと際立ちます。
全部が同じ色にならないように、材料を全て別々に煮るので、かなりの時間がかかります。
普段は手のかかる料理を嫌がるのに、これだけは譲らない祖母。
きっとこれまで忙しい日々にはかけられなかった思いを、元旦に込めていたのでしょう。
今ではそれが張りになっているからと、母も手を出さず、高齢の身に大変な仕事であることを承知で任せています。
甘えることを良しとせず、気丈夫に生きて来た祖母なので、それなら無理しないでというのではなく、家族のためにがんばってくれたことに、目一杯感謝したいと思います。
クリスマスはテレビで十分、と笑っていたので、「あの時選んだケーキだよ。」と話せるよう、子供たちの写真を撮って送るつもりです。
気温が下がったことで、昔のケガが痛んだりしていないか、本当は気がかりでです。
けれど短い手紙の中でしかふれ合えない時は、一緒に過ごせる時間や楽しいことだけを考えられる内容にしました。
会ったら愚痴もたくさん聞くからね。
年末までもう少し、今年も元気で過ごそうね。
そんな思いを込めました。
寂しいも、つまらないも口に出さないからこそ、こまめに気遣っていたいと思います。
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