どんぐりを、ふたつ並べる秋の宵。~晩秋のラブレター~

金木犀の香りにはっとしたり、足元に落ちているどんぐりに、もうそんなに秋は深まっているのかと驚かされます。

昼間思わず拾ってしまった形のいいツルツルのどんぐりを、夜、家でふたつ並べて眺めていると、「いいな、一緒にいれて。」なんてヤキモチを焼いてしまいそうです。

そんな子供じみた気持ちになってしまうのも、人肌恋しくなる季節だから。

ストーブもセーターもまだ早い。

誰かがそばにいてくれれば温まるはずのこんな夜には、ついさびしい気持ちを手紙につづってしまいそうです。

 

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けれどすでに中堅として活躍する世代になった彼は、季節の変わり目にも気がついていないかもしれません。

年末を見据えてひたすらお仕事にまい進している恋人に、水を差すような手紙は避けたいところです。

大人の恋は、会いたい気持ちにさせたもの勝ち。

私もチャレンジしてみます。

 

見つけたのは、あなたみたいなどんぐり。

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ホームズさん

街路樹が大きな葉っぱを落とす時期になりました。

そろそろコートを出しておいた方が良さそうです。

ある日、突然寒いと困るでしょう?

金木犀の香りにつられて、花を探して上ばかり見ながら歩いていたら、なんだか固いものを踏んでしまいました。

下を見たら、足元には立派などんぐり。

もうすっかり茶色になって、大人の風格で転がっていました。

落ちたばかりのようで、まだ子供たちも手つかず。

フライングしてごめんねって思いながら、ピカピカのどんぐりふたつ、拾って仕事へ向かいました。

1つはあなたみたいなどんぐり。

細長くてシャープな形をしています。

もうひとつは私みたいな形。

小さくて少し丸めです。

あなたが見たら、「もうちょっと丸いんじゃない?」なんて言いそうですが、これは目標。

次に会うまでにはこんなスタイルになっておこうという、自分へのエールです。

家に帰ってから2つ並べて飾りました。

あたたかい部屋で、そっと寄り添っています。

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なかなか素敵な眺めです。

こんな早くからストーブをつけましたなんて言ったら、あなたにまた笑われそうなので、暖かいブランケットや、小さなお鍋を買いました。

秋の夜長は熱々のお鍋を食べて、撮りだめしていたドラマを見たり、読みたかった本を読んだりしようと思っています。

ぬくぬくの部屋でこれにくるまれば、いつまでも夜更かしできそうです。

どんぐりのおかげで模様替えのイメージもわいたので、今度の休日は秋と冬のインテリアも見に出かける予定です。

部屋の写真を送りますね。

あなたが次にこの部屋に来る時はきっともう少し寒いから、その頃はもっと暖かいものをたくさん用意しておきます。

去年一緒に買ったこたつはすでに出てますよ。

さすがにまだ電源は入れていませんが、寒がりな私にはそれも時間の問題。

ここで一緒におでんを食べながら、たくさんおしゃべりしましょうね。

あなたが好きだと言っていた、あのお店の味を再現できたんです!

すごいでしょう?

どうやったかは内緒です。

涼しくなったので、お料理もがんばっています。

年末は期待していて下さいね。

 

秋が忙しかったこと、すっかり忘れるくらい2人でのんびりしましょうね。

きっとあっという間です。

どんぐりよりも太ってしまったことをごまかすために、慌てて新しい服を探しに行く頃にはもうなくて、ダイエットをするのか、どんぐりを隠すのか悩んでいるうちにあなたが帰って来るでしょう。

「秋はそれくらいやせてたんだよ!」と言い訳しながら、ベストシーズンを迎えるおでんを温めます。

待ってますね。

お仕事がんばって下さい。

おでんは今すぐ作ってあげられないから、身体を冷やさないように気を付けて下さいね。

ハナコ

 

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あえて出さなかったクリスマス

10月も後半になると、年末のスケジュールも立てやすくなります。

そうすると気になるのは、クリスマスは恋人に会えるのかということ。

自分の楽しみをたくさん持てるようになった年齢とは言え、どんなに仕事が忙しくても、離れていても、クリスマスくらいは一緒に過ごしたい。

そう思うとつい手紙にも、クリスマスのことを書いてしまいそうです。

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けれど忙しい彼にとって、まだ先だと思っている時期のスケジュールが固定されてしまうのは、たとえ大切な恋人とのデートでも重荷かもしれません。

だからあえて、今回の手紙ではクリスマスを連想させるような言葉は出さないようにしました。

その代り、確実に休めるとわかっている年末は2人で過ごしたいと、しっかりアピール。

疲れた時に、自分のところで休みたいなぁと思ってくれるような内容を心がけました。

クリスマスのディナーやパーティーメニューより、おでんを選んだのもそのためです。

一緒に行ったお店で彼がおいしいと言っていたものや喜んでいたこと、そういった思い出を詰め込んだ場所を準備する秋もいいですね。

なかなか会えなくても、彼のために過ごす時間だって充実できるはずです。

おしゃれなだけが女の魅力ではありません。

20年くらい前に、知っていたらよかったなぁと思うのです。

 

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