暖冬に、皇帝ダリアの空高く~友人へ送る初冬の手紙~
いよいよかと思っていた冬は足踏みで、小春日が続いています。
初冬というより晩秋の空は高く、見上げた皇帝ダリアのむこうは青空。
もしかしたら、今年最後のポカポカ陽気かもしれません。
ベランダにゆれる洗濯物をながめながら、のんびりした気持ちで友人に手紙を書きました。
スポンサーリンク
まるで初めて見た花のように
ジミニーさん
小春日の続く冬の始まりになりました。
今年は暖冬なのでしょうか?
のっぽの皇帝ダリアはどこまでも高く、見上げると薄いピンクの花と青い秋空しか見えません。
寒さに身構えていた体も、空をめがけて伸びました。
こんな日にのんびり手紙が書けるなんて、秋のしめくくりは最高です。
実は今年、私は皇帝ダリアの名前を初めて知りました。
こんなに雄大な花に、今までなぜ気がつかなかったのか不思議ですが、気になるとあちこちでゆれる姿に目を奪われています。
もはや一目ぼれと言ってもおかしくないくらい。
ただひとつ、わかるのは最近上を向くことが多くなったということです。
金木犀の強烈な香りにも、皇帝ダリアのそびえるような高さにも、今年はハッとすることがたくさんありました。
きっと足元で走り回る子供ばかり追いかけていた時期が過ぎたのでしょう。
皇帝ダリアの指す空は、これからの自由を象徴しているようでした。
だからどこにいても、ダリアをみるたび私は空を見上げています。
これから何ができるのかと考えながら。
秋晴れの青空には答えなんてなくて、ダリアものんびりゆれているだけ。
好きにすればいいよって言っているようです。
ほんの少し心細さも感じるけれど、私もゆれてみようと思います。
花の香りを感じたり、身長の何倍もある大輪に心奪われるのも、同じ目線で季節を感じる人がいてくれたから。
素晴らしい風景を、これからもジミニーさんとお話しできるといいなと思っています。
あたたかな風は急に木枯らしに変わるかもしれません。
それでもダリアと一緒に空を見上げた空を、ジミニーさんに届けます。
新しい季節を見つけたら、またお手紙書きますね。
ハナコ
スポンサーリンク
つき抜けた空
なぜこの花に今まで気がつかなかったのか、皇帝ダリアに魅了されています。
下ばかり向いて歩いていたのでしょうか。
そんな状態で書いた手紙は、知らず知らずのうちに大切な人にも、何かを背負わせていたかもしれません。
特に苦しい時期に支えになってくれた人には、カッコ悪いところも、情けない内面も全て見せてきました。
今さらなかったことになんてできない。
だからこそ、良くなったことも全て知ってもらいたいのです。
苦しいこともたくさんあったけど、こんなに世界がきれいなことに、やっと気がついたと知らせたい。
厳しい季節を分けあってくれたから、幸せな季節も共有したい。
とっておきのニュースや、深刻な悩みなんてなくても、大切な人には季節の便りを送ります。
ダリアがとてもきれいだったから。
あなたに見せたかったから。
スポンサーリンク