七五三を迎える友人家族に送るお祝いの手紙~11月15日~
冬の気配が色濃いものの、まだ小春日和の多い季節です。
11月15日は七五三。
澄んだ秋空にかわいい晴れ着が映えます。
家族で祝うイメージの強い七五三ですが、ただでさえ日々忙しく、そのうえ準備も慌ただしくなるお母さんは、成長の喜びをゆっくり感じる時間が持てません。
本当なら子供のために自分の全てを捧げているお母さんにこそ、この日をかみしめてもらいたい。
お祝いの手紙は、読んでいるあいだ、お母さんがささやかでも自分と子供のがんばりをお祝いできる時間が持てるといいなと思いながら書きました。
3歳、5歳、7歳。
それぞれにふさわしい手紙を贈ります。
そしてこの手紙への返事はこちらから。
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3歳、赤ちゃん卒業おめでとう
サヤカさん
晴天も多く、空気もさわやかな季節、初めてのお着物にはぴったりの時期ですね。
無事に3歳の七五三を迎えられたこと、おめでとうございます。
とは言っても、晴れ着を着せて家族でお参りとなれば、サヤカさんはまだまだホッとするどころではないでしょう。
ハレの日の子供のために、自分が美容室へ行く時間も取れなかったことと思います。
それでも、ほのちゃんの着物どれにしようかなって話していたサヤカさんはとてもきれいでした。
「七五三て、親は何を着て行けばいいの?」って困っていたサヤカさんの笑顔は、とぎれとぎれの睡眠時間をくぐり抜けてきたおかげで余分なものがすっかりそぎ落とされ、キラキラしていました。
初めて着物を着るほのちゃんが転ばないように、疲れたら抱っこもしてあげられるように、パンツスーツがいいかもしれませんね。
「昔のスーツ入らないかもしれない。」って心配してたけど、きっと大丈夫です。
思わぬところに筋肉がついているかもしれないけれど、動き回るほのちゃんを追いかけ、疲れたら抱っこがお仕事のあなたの体は、まだまだ太る余裕もないみたい。
秋晴れの神社で、育児ダイエットに成功したと笑っているあなたが目に浮かびます。
今日まで本当にお疲れ様でした。
ほのちゃんは1人で何かができる時期にはまだ遠く、1人目であればなおさら先の見えない不安もあることと思います。
それでもあなたが彼女のために捧げたこの3年間は、これからの成長の強い土台となるはずです。
赤ちゃんはそろそろ卒業です。
ほのちゃんはあなたにもらった力を支えに、これからどんどん大きくなります。
思いがけないことがあっても、2人で一緒に積み上げた時間を信じてがんばって下さい。
がんこだって怒っていたけれど、信念を曲げない強さはあなたにそっくりです。
ママに似た素敵な子になるね。
改めておめでとう。
楽しい一日になりますように。
ハナコ
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お疲れ様、神様からの命と歩んだ5年間
サヤカさん
ほのちゃん5歳の七五三、おめでとうございます。
何かを超えた気がしないと笑っていた3歳とは違い、きっと最近では手が離れて来たと感じる時間も出てきたことと思います。
以前は「なんでこんなにガンコなの!」とため息をついていたサヤカさんも、最近はすっかり一人前にお話ができるようになったほのちゃんとのおしゃべりを楽しんでいるんだろうなと感じています。
昔は「3歳までの子供は、神様からお預かりしているものだ。」と考えていたそうです。
コミュニケーションが取れない子供に対し、なんとか自分を納得させようと誰かが言い始めたんじゃないかと思うのですが、それくらい得体の知れない相手だってことでしょうね。
3歳を過ぎても風邪を引くたびに高熱を出し、少し調子が悪いと食欲が落ち、原因不明のグズグズには今だって悩まされることがあるだろうと思います。
それでもお母さんをまっすぐ見つめるようになったほのちゃんの力強さは、とても頼もしく感じられますね。
どんなにわからなくても、誰にも助けてもらえなくても、私しかいないと踏ん張り続けたサヤカさんの心が、ほのちゃんの中で芽を出したのでしょう。
愛情を一身に受け、誰かを信じることのできる力が育っていることを感じます。
そうしてこの度めでたく神様からの預かり物は、いよいよ自分の人生を手に入れる冒険を始めます。
「これまでだって十分大変だったのに!」という悲鳴が聞こえて聞こえて来そうですが、自立した分と同じだけ行動範囲を広げ、関わる人に認めてもらえることを心の糧とし、これからのほのちゃんは大きくなります。
きっとサヤカさんの目が届かないところへ出かけて行くことだってあるはずです。
それでもその時ほのちゃんは1人ではなく、これまでサヤカさんが一心に育んで来た、すこやかな心と共に世界を広げて行くでしょう。
あなたが今日まで少しずつ、でも確実に積み上げてきたものは、必ずほのちゃんを守り、素晴らしい人生を与えてくれるはずです。
信じて「いってらっしゃい。」と言ってあげて。
たくさん遊んで帰って来たら、今までみたいに抱きしめてあげて。
しっかりして来たと思っても、まだまだお母さんに甘えたい年齢です。
明日への力をまた蓄えられるように、これからは羽を休める場所でいてあげて下さいね。
これまで本当にお疲れ様でした。
心から今日のこの日をお祝いしています。
ハナコ
7歳の今日開く、大人への扉
サヤカさん
振袖を着たほのちゃん、女性の風格さえ漂わせていましたね。
ついに迎えた最後の七五三、健やかな成長と、まだ華奢な体に秘められた大きな可能性に、私からもおめでとうを言わせて下さい。
ほのちゃんが一人前の人として歩き始めるまでの長い道のり、伴走して来たサヤカさんにもお疲れ様とおめでとうを贈ります。
成長の節目と言われる七五三も、7歳のお祝いになると、成人式への助走のような気持ちさえします。
着物を着て歩けるかと心配した3歳も、手を引いてあげるべきなのかと迷った5歳も、今日の日のための積み重ねだったと思うと感慨深いものがありますね。
おめでとうを伝えた私に、「おばさん、ありがとう。」と笑ったほのちゃんは、すっかり自立した女性の趣きがありました。
「中身はまだまだ幼いよ。」と言ってたサヤカさんも、7年分の貫録を漂わせていました。
「子供に手がかからなくなったら太って来ちゃった。」とぼやいていたけれど、これまで骨身を削ってほのちゃんの成長を支えて来たハナちゃんには、貫録以上に大きな自信と信念が見えました。
全力で向き合わなければ、手に入れられなかったものだと思います。
これまで本当にがんばって来たよね。
これからのほのちゃんは、時にはお母さんとぶつかることで自分自身を見つめ、これまでのありがたみも忘れたみたいに踏み台にして、他の誰のものでもない自分の人生を見つけて行くのでしょう。
サヤカさんには、これからも試練があるのだと思います。
けれどお腹の中にいた頃からずっと、お母さんの栄養をもらい続けて大きくなったほのちゃんとは、どんなことがあっても揺らがない絆が生まれているはずです。
守ってあげるだけだった存在から、ほのちゃんはサヤカさんにとって、1人の人間としてかけがえのない存在になるでしょう。
サヤカさんが一生懸命ほのちゃんの中にまいて水をやった種は、いつかハナちゃんが出会うことのなかった人をも幸せにする花を咲かせることと思います。
今日のほのちゃんは、そんな美しい花のつぼみでした。
まだまだお水も栄養も必要で、サヤカさんは休むヒマなんてないかもしれない。
けど「楽しみだね!」って心から言える、そんな実りを感じた1日でした。
緊張して澄ました記念写真とは違う、かわいいかわいい笑顔が見れたよ。
「変わってないね。」って言ったのは、3歳のあの日、まっ赤なお着物をかわいいねって言った時と同じ笑顔。
7歳の彼女はわずか5年にも満たない間に劇的な変化をとげていました。
これからは、ほのちゃんと力を合わせて一緒にがんばってね。
ハナコ
節目に感じたあの頃の気持ち。
上の娘が5歳になった時、まっさきに頭に浮かんだのは、「あぁ、この子を死なせることなくここまで来たのか。」ということでした。
心身ともに健康で、大きな病気もせず、毎日楽しく幼稚園へ通っていましたが、それでも特に1人目だった長女との日々は壮絶の一言に尽きました。
赤ちゃんの頃から気難しく、子供らしさの少ない彼女は何を考えているのか、どうしたいのかが全く理解できず、手を焼いてばかりでした。
危険な場所に突っ込んでいく娘を持て余し、「もうどうなってもいいや。」と投げやりになったことも1度や2度ではありません。
3歳の七五三では、まだどうやって本人を納得させてお参りに連れて行くのか頭を抱えていたので、5歳になった時ようやく、ひとつの時期が過ぎたことを実感することができました。
5年間、なんとか娘の命を守ることができた。
女の子なので5歳の七五三ではお参りには行きませんでしたが、昔はもっと参拝の時期があいまいだったと言います。
きっと親が子育ての中でひとつの時期が終わったと感じた時、感謝を込めて参拝したことが行事として確立されたのでしょう。
当たり前だけど、子育ての大変さは、子供の数だけ違います。
ハナコの娘たちも、上は人格をくつがえされるかのような事の積み重ねだったのに、下の娘は赤ちゃんを抱くことの幸せを改めて伝えに来たかのようなおとなしい子供でした。
幸か不幸か子育ては、いいことも悪いこともずっと続くわけではありません。
それでも小さな小さな世界の中で、何よりも重たい命のために、日々自分を削っているお母さんたちをねぎらう気持ちを込めて、それぞれの年齢にふさわしい手紙を書きました。
当時の自分に届けられたらいいのにな。
今ふりかえる昔の自分は、戦友のような、ママ友のような存在です。
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