満月に木星よりそう春の夜~友人に送る真夜中のメール~

そろそろ寝ようかな、と思って部屋の電気を消したら、窓が光っていました。

そういえば今日は満月。

見ておかなくちゃとカーテンを開けたら、真っ白な光が春の夜空をてらしていました。

cat-1204321_640

空には、雲がひとつもないことがはっきりわかるほどの明るい夜。

空気はとても冷たいのに、夜空でさえ春にそなえているのです。

ずっと以前、ハナコはこんな夜によくジミニーさんにメールを送りました。

「今、窓から見える満月がとても明るくて…。」と、それだけを伝えるために。

まだ幼かった子どもたちが起きないようにと、暗くした部屋がおどろくほど明るかった夜。

一日のうち、唯一持てた自分の時間を、大切な友達と共有していました。

LINEのように、ジミニーさんからのお返事をすぐにでもと、待っていたわけではありません。

ただ一方的に手紙を書いているだけだったけれど、それでもいつも一緒に満月を見ているような気持ちでいました。

そして明日もがんばれそうな、そんな気分になれました。

だから今でも満月を見たらジミニーさんに手紙を書きたくなるのです。

 

スポンサーリンク



 

今夜は満月

ジミニーさん

今夜は満月です。

そろそろ寝ようかと電気消したら、あまりにも窓が明るくてカーテンをあけました。

そういえば、春の満月ってこんなふうだったな。

まぶしいほどの光が、雲ひとつない夜空をてらすのを見ながら思い出していました。

desk-1148994_640

まだまだ子どもたちが幼かった、あの頃のこと。

とは言っても、幼い頃の子どもたちを思い出したわけではありません。

今でもあの頃に戻りたいかと聞かれたら、絶対いやだと即答するほどハードだった日々。

あの頃私はよく、月の出るこんな時間にジミニーさんに手紙を書いていました。

一日がやっと終わって、なんとか持てた自分の時間。

私は誰でもない、ひとりの人間としてジミニーさんへの言葉を探していました。

メールをよんだ時、楽しい気持ちや満たされた気持ちになってほしい。

そうは思ったものの何を話そうかと、見上げた夜空に輝く月のことをよく話しました。

そんな時、満月だったらそれだけで特別な日であるような気がして、とてもいいものを見つけたような気がしました。

だから今でも満月の夜は、私にとって特別です。

おまけに今日はとってもきれいに輝く星がひとつ、満月のそばで光っています。

あれはなんだろう?

そう思いながら調べたら、木星でした。

金星とはちがう、落ちついた深い光。

春を待つ夜にふさわしい、重厚な雰囲気のある星です。

それを見ながら、私には満月が「そろそろあなたにも、今とは違う光るなにかが必要なのでは?」と言っているように思えました。

奥さんでも、お母さんでもない言葉を探していたあの頃、月はシンプルに輝いていました。

でも今日は、あんなきれいな宝石で飾ってる。

もしかしたら私も、自分を飾る時期を迎えたのかもしれません。

昔読んだ森瑤子さんの本に、ブランド品や宝石は、年齢を重ねた女性にこそ必要なのだと書いてありました。

ハリやツヤを失った肌の光を補うために。

経験や思いをかさね、満たされた内面とのバランスをとるために。

まだ高校生くらいだった私は、自分もこんなふうに年をとれたらと、あこがれいっぱいの思いで読んだ記憶があります。

でも考えてみたら、私はもう、あの頃読んだエッセイの主人公の年齢に近づきつつあるのです。

飾るにふさわしい内面があるかしら?

と、考えました。

ジミニーさんのようにバリバリとお仕事をすることも、趣味に夢中になることもなくここまで来ました。

でもゼロじゃない。

満月を見上げながら書き続けた手紙といっしょに、育ったものがあるような気がしています。

やっぱり満月は特別。

ずっとそうしてきたように、明日も頑張ろうと思います。

満月じゃなくてもまたお手紙書きますね。

 

ハナコ

 

スポンサーリンク



 

思い出の満月

月の満ち欠けが人の心に影響するからなのか、満月は話題になりやすく、夕方つけていたテレビの天気予報で、「今夜は満月」と時々耳にします。

table-1031148_640

その時はなんとなく、ふぅん…と流してしまうのですが、実際月が顔を出すと、その圧倒的な力に「ああそうだ、今日は満月だった。」と、吸いよせられるような気持ちになるのです。

ほとんど毎日といっていいほどジミニーさんに手紙を書いていたあの頃は特に、よくそんな状態になりました。

子育ての疲れで、もう自分の言葉なんて出てこないんじゃないかと思うほど、空っぽになった夜。

満月は不思議な力で私を満たしてくれました。

「月がきれいだから、手紙を書きたくなりました。」

最初の言葉を文字にしたら、後は自然につづきが書けました。

何もない一日だと思っていたけど、意外といろいろあったな。

今日もそこそこがんばったな。

自分を評価したりほめたりしながら、その日のことを思い出しました。

肉体的な疲労は、頭を使うとバランスがとれるのでしょうか。

ぐったりしていた体が心地よい疲労に変わり、今度こそ何もかも空っぽになって、その後はぐっすり眠りました。

昨日見た木星は、きっと満月からのメッセージです。

自分を飾るものをみがきなさい、と。

 

スポンサーリンク



 

コメントを残す

サブコンテンツ

はじめにもどる